課題と目標 事例5:ヒンドゥー教徒

みんなと一緒に外食できればいいですね

アンシュさん(インド出身ヒンドゥー教徒/大阪大学に留学のため来日)

アンシュさん写真 私は、インドのビハール州から日本に1年間留学に来ました。ヒンドゥー教徒でベジタリアンです。日本に来て、食事について少し苦労しています。びっくりしたのは、ベジタブル・サンドウィッチの中にハムが入っていたことです。インドでは、ベジ(菜食)とノン・ベジ(非菜食)がはっきりと分かれていて、ベジ(菜食)のものには絶対に肉や魚は入っていません。それから、日本人はベジタリアンというのは、肉は食べないけど魚介類は食べると思っています。キャベツ焼きを食べに行ったとき、ベジタリアンだといったら店の人がサービスしてくれて、シーフードたっぷりのキャベツ焼きを作ってくれました。店の人の気持ちはすごく嬉しかったけど食べられませんでした。

 インドのベンガル地方ではガンジス河が近いこともあり、魚介類を食べる習慣があります。しかし、一般的には魚介類も生き物なので食べてはいけないとされており、私も食べません。ビハール州にある実家では、父だけはベジタリアンではないので肉も食べます。料理はだいたい母が全て作るのですが、肉を扱うところだけは父が自分でやっています。包丁、鍋、食器類は全部肉用とそれ以外のもので分けています。台所は1つしかないので分けられませんが、肉料理をした後はきれいに掃除をします。肉は「汚いもの」と考えられているからです。

日本では、肉や魚などを食べてしまうのはある程度は仕方ないと考えています。また、普段は自分で料理するので安心して食べることはできています。でも、外へ食べに行くときや、作るのが面倒くさかったりするときは、日本にももう少しベジタリアンやヒンドゥー教徒向けの食べ物があればいいのにと思います。

ヒンドゥー教徒

 ヒンドゥー教は、インドやネパールで多数派の宗教です。ヒンドゥー教では牛は神聖なものとされているため、食べられません。牛以外の食事規制は個人によって様々です。ヒンドゥー教徒にはベジタリアンの人もたくさんいます。

 ヒンドゥー教徒の中には、アルコール、肉、きのこ類や、辛い香辛料、ニンニク、タマネギ、ネギ、ショウガなども食べない人もいます。これらは、そのものの性質として熱があると考えられています。熱があるものを食べると、イライラしたり怒りっぽくなったりするといわれています。また、根菜類を食べることは、その植物を殺すことになるという考え方もあります。しかしこれは少数派で、実際ほとんどのインド料理にはニンニク、タマネギ、ショウガなどがたくさん使われています。

 インドには「浄」「不浄」、つまり「きれい」「きたない」という考え方があります。一般的にインドでは手で食事をしますが、右手が「浄」となっているので、左利きでも右手で食事をする人もいます。そして、他人の唾液に触れるのは「きたない」と考えられているので、回し飲みや、同じ鍋をみんなでつつくことは、仲がいい人同士でも抵抗を感じる人もいます。

 ヒンドゥー教徒には、牛以外なら肉も食べる人もいれば、完全なベジタリアンの人もいます。牛肉は食べませんが、乳製品は神からの恵みとしてたくさん食べられます。同じヒンドゥー教徒でも食事規制は人によって本当に千差万別です。なかには牛肉を食べるヒンドゥー教徒もいます。